ドイツの国立音大への道のり(2) – 運命の出会い

2024年7月11日

目次

  1. 教授へのメール
  2. 奇跡の返信
  3. 初めてのオンラインレッスン
  4. バッハとドビュッシーのレッスン
  5. 第一印象と未来への希望

教授へのメール

みなさん、こんにちは!前回のお話の続きです。あの感動的な演奏との出会いから、私の音楽人生は大きく動き出すと感じました。

興奮冷めやらぬまま、すぐにその教授にメールを送りました。正直、ドイツの国立音大の入学条件なんて何も知らないまま。ただ自分の音楽への情熱を言葉に込めて、履歴書や志望動機を添えて送信。

「こんな素晴らしい音色を持つ教授と会えるかも!」そんなワクワク感で、返信を待ちわびていました。

奇跡の返信

しかし…2週間経っても返事がありません。「やっぱり無理だったのかな…」落胆しつつも、諦めきれず、もう一度メールを送ってみました。すると、驚いたことに、その日のうちに返信が!

教授からのメールには、こう書かれていました:

「あなたの経歴を見て、音楽とピアノへの愛が伝わってきました。ドイツで学びたいという強い願望も理解できます。来年は私のクラスに空きがないのですが、私が教えている私立の音楽アカデミーがあります。そこの卒業証書は世界中で認められています。もし興味があれば、オンラインレッスンができます。一緒に演奏プログラムを考えていきましょうか。」

このメールを読んで、私は驚きを隠せませんでした。普通、ピアノの先生は生徒の演奏を聴いてから受け入れるかどうか決めるものです。でも、この教授は私の演奏を一切聞かずに、ただ志望動機と履歴書だけで生徒として招いてくれたのです。

初めてのオンラインレッスン

そして、2021年の大晦日。初めてZoomで教授とお会いしました。2022年1月には、ついにオンラインレッスンが始まったのです。尊敬する教授と画面越しとはいえ、目の前でレッスンを受けられる。ワクワクと緊張で胸がいっぱいでした。

オンラインで音がうまく伝わるか心配でしたが、教授はそんなことは全く気にせず、しっかりと指導してくださいました。

バッハとドビュッシーのレッスン

最初のレッスンで弾いたのは、バッハの平均律第一巻のヘ短調とドビュッシーの映像第一集。バッハを弾き終わると、教授はこう言いました。「いいね。この曲をレガートに弾いてみましょう。」そして、お手本を見せてくれたのです。

その瞬間、衝撃が走りました。今まで固く考えていたバッハのイメージが、一瞬で崩れ去ったのです。教授の演奏は、オンラインで音が少し歪んでいても、まるで歌のように流れ、心に染み入りました。その音に、私は一瞬で魅了されてしまいました。

次に弾いたドビュッシー。速いパッセージについて、教授はこんなアドバイスをくれました。「指を猫が爪で戯れるように動かしてみて。」試してみると…「なんてこと!」思わず心の中で叫びました。すぐに弾きやすくなり、音色も美しくなったのです。

第一印象と未来への希望

レッスンの終わりに、教授はこう言ってくれました: “Your playing is very emotional. Now it’s time to work on the technique to realise your emotions. I think we work well together." (日本語訳:「あなたの演奏はとても感情豊かです。今度は、その感情を実現するための技術を磨く時です。私たちはうまく協力できると思います。」)

にこやかに笑いながらの言葉。人としての器の大きさと親切さが伝わってくる、そんな第一印象でした。

母も別室でレッスンの様子を聞いていたのですが、「すごいね、たった1回のレッスンでこんなに変わるなんて。」と驚いていました。正直、この1時間のレッスンは、過去7年以上のブランクの価値があったと感じました。

次回は、このレッスンを経て、どのように徐々にドイツへの道が開けていったのか、お話しします。お楽しみに!